技能実習制度と育成就労制度の違いは?比較表で何が変わるのかを解説
2027年4月1日から、技能実習制度に代わって「育成就労制度」が始まります。
制度の名称が変わるだけでなく、目的や転籍、日本語能力の要件、特定技能への移行方法なども見直されます。
しかし、具体的な変更点を把握しなければ、自社でどのような受け入れ体制を整えるべきか判断できません。
本記事では、技能実習制度と育成就労制度の違いを比較し、外国人材を受け入れている企業や、今後受け入れを検討している企業への影響を分かりやすく解説します。
この記事の結論
- 育成就労制度は2027年4月1日から開始
- 制度の目的が「国際貢献」から「人材育成と人材確保」へ変わる
- 一定の要件を満たした本人意向による転籍が認められる
- 特定技能への移行に向け、技能と日本語能力の向上が重視される
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技能実習制度と育成就労制度の違いを一覧で比較
技能実習制度と育成就労制度では、制度の目的や対象分野、転籍の扱い、日本語能力の要件などが異なります。主な違いは次のとおりです。
| 比較項目 | 技能実習制度 | 育成就労制度 |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 開発途上国等への技能移転による国際貢献 | 外国人材の育成と人材確保 |
| 在留期間 | 技能実習1号から3号まで最長5年 | 原則3年 |
| 対象 | 技能実習の移行対象職種・作業 (96職種・174作業)※1 | 育成就労産業分野 (17分野・46業務区分) |
| 育成目標 | 技能検定等への合格 | 特定技能1号水準への育成 |
| 転籍 | 原則として認められない | 一定の要件を満たせば本人意向による転籍が可能 |
| 日本語能力 | 原則として一律の要件なし※2 | 就労開始前はA1相当、特定技能1号への移行時はA2相当 |
| 特定技能への移行 | 技能実習2号を良好に修了し、関連分野へ移行する場合は試験免除が可能 | 原則として技能・日本語の試験合格が必要 |
| 支援・監理 | 監理団体 | 監理支援機関 |
※1:96職種・174作業は技能実習2号への移行対象です。一部の職種・作業は技能実習3号へ移行できません
※2:介護職種など、一部には日本語能力の要件があります。
参考:農林水産省「育成就労制度の概要(技能実習制度との比較)」
育成就労制度について、概要を把握したい方は以下の記事もご確認ください。
次の見出しで、企業で特に押さえておきたい変更点を詳しく見ていきましょう。
技能実習制度から育成就労制度への主な変更点

育成就労制度では、外国人材を単に受け入れるのではなく、原則3年間の就労を通じて特定技能1号の水準まで育成することが明確に位置づけられています。
制度の目的が「国際貢献」から「人材育成・人材確保」へ変わる
技能実習制度は、日本の技能や知識を開発途上国等へ移転する「国際貢献」を目的としています。
一方、育成就労制度の目的は、国内の人手不足分野における人材育成と人材確保です。
育成就労制度では、制度の目的を人手不足分野における人材育成・人材確保へと明確にし、外国人材を計画的に育成する仕組みへ見直されます。
原則3年間で特定技能1号への移行を目指す
育成就労制度では、原則3年間の就労を通じて、特定技能1号に必要な技能と日本語能力を身につけることを目指します。
技能実習2号の良好な修了者に認められている試験免除とは異なり、育成就労から特定技能1号へ移行する際は、原則として技能と日本語の試験合格が必要です。
対象分野が特定技能制度とそろえられる
育成就労制度は、特定技能の受け入れ分野のうち、就労を通じた人材育成になじむ17分野を対象としています。
具体的には、介護、工業製品製造業、建設、宿泊、農業、飲食料品製造業、外食業などです。
特定技能制度との連続性が高まり、育成就労から特定技能1号への移行を目指しやすくなります。
ただし、対象になるかどうかは業種名だけでなく、事業所の産業分類や外国人材が従事する業務区分によって決まります。自社の事業所や外国人材に任せる予定の業務が対象に含まれるか、あらかじめ確認しておきましょう。
一定の要件を満たせば本人意向による転籍が認められる
技能実習制度では、やむを得ない事情がある場合を除き、働く企業を変える「転籍」は原則として認められていません。
一方、育成就労制度では、同一の業務区分であることや、分野ごとに定められる就労期間、技能・日本語能力などの要件を満たせば、本人の希望による転籍が認められます。
ただし、いつでも自由に転籍できるわけではありません。本人意向による転籍が可能になるまでの期間は、分野別に1年以上2年以下の範囲で設定されます。
技能と日本語能力の目標が段階的に設けられる
育成就労を始めるには、就労開始前までにA1相当の試験に合格するか、要件を満たすA1相当の講習を100時間以上受講することが条件です。
特定技能1号へ移行する際は、原則としてA2相当の日本語試験への合格が求められます。
企業が意識したいのは、試験対策だけではありません。安全に作業するための指示や報告・連絡・相談、職場での会話なども教育計画へ取り入れ、実際の業務で日本語を使える力を育てることが大切です。
監理団体から監理支援機関へ変わる
現在の技能実習制度において、監理団体を介して技能実習生を受け入れる場合、監理団体が海外の送出機関との調整や受け入れ企業への指導・監査、技能実習生の支援などを行います。
育成就労制度では、これらの役割を「監理支援機関」が担うことになります。
ただし、現在の監理団体が、そのまま監理支援機関へ移行するわけではありません。育成就労制度で監理・支援を行うには、監理支援機関として改めて許可を受ける必要があります。
現在の監理団体が監理支援機関の許可を受けない場合、その団体へ育成就労の監理・支援を依頼することはできません。監理型で新たに外国人材を受け入れる企業は、許可を受けた別の監理支援機関を探す必要があります。
連携先が決まらなければ、育成就労計画の認定申請や受け入れ準備が遅れる可能性があるため、現在の監理団体の対応予定を早めに確認しておきましょう。
育成就労制度への変更が企業に与える影響

企業には、3年間の受け入れだけでなく、特定技能への移行や長期的な就労まで見据えた育成体制が求められます。転籍が認められることも踏まえ、外国人材が安心して働き続けられる環境づくりが重要です。
特定技能への移行を見据えた育成計画が必要になる
育成就労を始める前に、企業は技能や日本語能力の目標、教育内容などを盛り込んだ「育成就労計画」を作成します。
企業の担当者は「3年間雇用する」という考え方だけでなく、いつまでにどの水準を目指すのか、特定技能へどのようにつなげるのかを、監理支援機関などと連携して具体化する必要があります。
外国人材から選ばれる職場づくりが重要になる
外国人材本人の意向による転籍が認められることで、賃金や労働条件だけでなく、教育・相談体制や職場のコミュニケーションも、勤務先を選ぶ判断材料になります。
制度上の要件を満たすだけでなく、質問や相談をしやすく、成長を実感できる職場環境を整えることが定着につながります。
継続的な日本語教育の体制が求められる
日本語能力は短期間で身につくものではありません。企業は現在のレベルを把握し、試験の時期から逆算して、就労後も継続して学べる環境を整える必要があります。
試験対策に加え、自社の仕事内容や安全管理、報告方法に合わせた実践的な教育や体制づくりが重要になるでしょう。
この日本語教育の体制づくりに不安のあるご担当者は、ぜひEPIC JAPANESEへご相談ください。各企業にあわせた日本語教育と体制づくりをサポートいたします。
制度開始までに企業が準備しておきたいこと

現在技能実習生を受け入れている企業と、2027年4月以降に新たな受け入れを予定している企業では、必要な対応が異なります。
まず整理したい項目は主に以下です。
- 現在受け入れている技能実習生の実習段階と在留期間
- 技能実習制度の経過措置に該当するか
- 今後の受け入れ人数・時期・対象業務
- 連携する監理支援機関と社内担当者
- 特定技能への移行予定
- 就労後の技能・日本語教育の方法と予算
経過措置や申請時期によって扱いが変わるため、現在の受け入れ状況を確認し、監理団体や行政書士などの専門家とも相談しながら準備を進めていきましょう。
育成就労制度の違いに関するよくある質問【Q&A】
それでは、育成就労制度と技能実習制度の違いに関するよくある質問に回答していきます。
Q:2027年4月1日に技能実習制度はすべて終了しますか?
A:いいえ。2027年4月1日に育成就労制度が始まっても、すべての技能実習が同日に終了するわけではありません。
施行時点で技能実習を行っている場合などには経過措置があり、一定の条件を満たせば施行後も技能実習を継続できます。
Q:現在の技能実習生は育成就労へ切り替わりますか?
A:現在の技能実習生が、自動的に育成就労へ切り替わるわけではありません。
原則として現在の在留資格と技能実習計画に基づいて実習を続けます。適用される経過措置は、入国時期や実習段階によって異なるため、対象者ごとの確認が必要です。
Q:育成就労では自由に転籍できますか?
A:いいえ、自由に転籍できるわけではありません。
同一の業務区分であること、一定期間同じ企業で就労していること、技能・日本語能力の要件を満たすことなどの条件があります。
暴行や重大な法令違反といった、やむを得ない事情による転籍の仕組みも引き続き設けられます。
Q:育成就労制度では企業による日本語教育が必要ですか?
A:企業の担当者が、自ら日本語を教える必要はありません。
ただし、受け入れ企業には、外国人材が3年間でA2相当を目標とする日本語講習を100時間以上受けられる機会を設け、費用を負担する義務があります。
原則として認定日本語教育機関の「就労」課程が対象ですが、施行後の経過措置期間中は、一定の要件を満たす登録日本語教員による講習も認められます。
企業側は要件を満たす教育機関・講師へ依頼するなど、継続して学べる環境を整える必要があります。
育成就労制度を見据えた日本語教育と体制づくりはEPIC JAPANESEへ

育成就労制度に向けて企業が整えたいのは、試験合格のための学習機会だけではありません。
企業が目指したいのは、外国人材が次のような行動を取れる状態ではないでしょうか。
- 作業手順や安全に関する指示を聞き、適切に行動できる
- 遅れや異常が発生したとき、自分の言葉で報告できる
- 分からないことをそのままにせず、質問・確認できる
こうした力を育てるには、試験対策に加え、職種や業務内容に合わせて、現場で使う日本語を練習できる研修を組み立てることが大切です。
EPIC JAPANESEでは、受け入れ時期や職種、外国人材の日本語レベル、企業が抱えている課題に合わせて研修内容をご提案します。
試験対策に加え、現場の指示、安全用語、報告・連絡・相談など、実際の業務で必要な日本語を取り入れた研修が可能です。
就労後の継続研修から、社内の教育担当者が指導しやすい体制づくりまで、外国人材の成長と職場への定着をサポートします。
育成就労制度に向けた日本語研修や教育計画について、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ
育成就労制度は、技能実習制度を発展的に解消し、外国人材の育成と人材確保を目的として設けられる制度です。
2027年4月1日の施行により、転籍、日本語能力の要件、特定技能への移行方法、支援体制などが変わります。
企業は制度上の変更点を確認するだけでなく、特定技能への移行や長期的な定着を見据え、受け入れ体制と日本語教育の準備を早めに進めましょう。
※本記事は2026年11月時点で公表されている情報をもとに作成しています。
今後、制度の運用内容が更新される可能性があるため、最新情報は出入国在留管理庁「育成就労制度」および外国人技能実習機構「育成就労制度について」をご確認ください。